⬛ 黒マルチシート
最もポピュラーな素材。光を遮断して雑草の発芽を防ぎ、地温を上昇させる効果があります。農業用フィルムで入手しやすく、長持ちします。秋から冬にかけての栽培に最適です。
地面をシートや藁で覆い、雑草を防ぎながら
いちごを健やかに育てる伝統的栽培法
マルチングとは、土の表面をさまざまな素材で覆う栽培技術のことです。英語の「mulch(マルチ)」を動詞化した言葉で、日本でも広くいちご農家や家庭菜園で取り入れられています。土を覆うことで、太陽の熱・乾燥・雑草の発芽・病原菌の跳ね返りなど、さまざまな問題を同時に解決できる優れた方法です。
いちご栽培においてマルチングは特に重要な役割を果たします。いちごの実は地面に近い位置に生るため、雨の日に泥がはねて果実に付着したり、果実が直接湿った土に触れることでカビや腐敗が起きやすくなります。マルチングをすることで、こうしたトラブルを大幅に減らし、きれいで品質の高いいちごを収穫することができます。
また、マルチングは水分の蒸発を抑えるため、夏の暑い時期でも水やりの回数を減らすことができ、高齢の方や忙しい方にも大変便利な方法です。適切なマルチング素材を選ぶことで、一年を通じて安定した栽培環境を作ることができます。ぜひこのページを参考に、あなたのいちご畑にマルチングを取り入れてみてください。
マルチングに使える素材はさまざまです。それぞれの特徴を理解して、目的と予算に合ったものを選びましょう。
最もポピュラーな素材。光を遮断して雑草の発芽を防ぎ、地温を上昇させる効果があります。農業用フィルムで入手しやすく、長持ちします。秋から冬にかけての栽培に最適です。
昔から農家で使われてきた伝統的な素材。水はけが良く、土壌微生物を活性化します。分解されると有機物として土に還り、土壌改良にも役立ちます。入手しやすく安価です。
木の樹皮を堆肥化したもの。見た目がナチュラルで、庭園風の畑に向いています。保水性・通気性に優れ、分解されると土質を改善します。厚さ5〜8cmに敷きましょう。
雑草や草刈りで出た草を乾燥させたもの。コストがかからず、分解後は肥料になります。ただし、種が入っているものは逆に雑草が生えることもあるため注意が必要です。
光を反射する銀色のシート。アブラムシなど光を嫌う害虫を遠ざける効果があります。夏場は地温の上昇を抑える効果もあり、高温期の栽培に向いています。
家庭で手軽にできるエコなマルチング。分解されるため環境に優しい。上からウッドチップや藁を重ねると見た目もきれいです。雑草防止には効果的ですが耐久性は低めです。
正しい手順でマルチングを行うことで、効果を最大限に発揮できます。以下のステップを参考にしてください。
マルチングを行う前に、まず土壌をしっかり整えましょう。雑草を根ごと取り除き、土を柔らかく耕します。元肥(もとひ)となる堆肥や緩効性肥料を土によく混ぜ込んでください。マルチングをすると追肥がしにくくなるため、この段階での施肥が特に重要です。
マルチシートを張る前に、たっぷり水を与えて土を湿らせましょう。マルチングをすると水が土に浸透しにくくなるため、事前の水分補給が大切です。特に乾燥している時期は、土が十分に湿っていることを確認してから次のステップへ進みましょう。
黒マルチシートを畝(うね)の上に広げます。このとき、シートが風で飛ばないよう、端をしっかり土に埋めるか、重石(おもし)で固定してください。シートにたるみが出ないよう、軽く引っ張りながら張るとうまくいきます。隣の畝との間隔も確認しながら作業しましょう。
マルチシートの上から、苗を植える位置にカッターやハサミで十字型または丸型の穴を開けます。穴の大きさは苗の根鉢に合わせて調整し、直径8〜12cm程度が目安です。穴を開けすぎると雑草が生えてしまうため、必要な数だけ開けましょう。
開けた穴にいちごの苗を植えつけます。クラウン(根と葉の境目の部分)が土の表面と同じ高さになるよう注意してください。深すぎると腐りやすく、浅すぎると乾燥で枯れる原因になります。植え付け後は穴の周囲の土をしっかり押さえて安定させましょう。
定植後はすぐにたっぷりと水を与えましょう。マルチングをしているため、水が穴から確実に根元に届くよう、ゆっくり丁寧に与えてください。ホースのノズルをシャワーモードにすると土が流れず安心です。最初の1〜2週間は根が活着するまで特に水分管理に注意が必要です。
マルチシートが風や雨でめくれていないか定期的に確認しましょう。めくれている箇所は土で固定するか、追加のピンを使って補修します。また、穴の周辺から雑草が生えてきた場合は早めに抜き取りましょう。季節の変わり目には状態をよくチェックすることが大切です。
マルチングにはさまざまな効果があります。下の表で主な効果と説明をご確認ください。
| 効果 | 詳細説明 | 評価 |
|---|---|---|
| 🌿 雑草防止 | 光を遮断することで雑草の発芽・成長を大幅に抑制します。草取りの労力が大幅に減ります。 | ◎ 非常に高い |
| 💧 水分保持 | 土の表面からの水分蒸発を防ぎ、水やりの頻度を減らせます。乾燥ストレスからいちごを守ります。 | ◎ 非常に高い |
| 🦠 病気予防 | 雨による泥はねを防ぐことで、土壌中の病原菌が果実や葉に付着するのを防ぎます。 | ○ 高い |
| 🌡️ 地温管理 | 黒マルチは地温を上昇させ、秋から冬の栽培に有効。シルバーマルチは夏の地温上昇を抑えます。 | ○ 高い |
| 🍓 果実の清潔保持 | 果実が土に触れるのを防ぎ、泥汚れやカビの発生を大幅に減らします。収穫物がきれいになります。 | ◎ 非常に高い |
| 🐛 害虫対策 | シルバーマルチはアブラムシを忌避させる効果があります。土壌害虫の活動も抑えられます。 | △ やや有効 |
| 🌱 土壌改良 | 有機系マルチ(藁・バーク堆肥)は分解されると腐植(ふしょく)となり、土を豊かにします。 | ○ 高い |
いちごは季節によって管理方法が異なります。季節に合わせたマルチング管理を心がけましょう。
花が咲き始める大切な時期です。マルチの上に果実が垂れてこないか確認し、必要なら藁を追加して果実を保護しましょう。気温の上昇とともに地温も上がりすぎないよう様子を見てください。雨が多い時期は病気予防の観点からもマルチングが特に重要です。
収穫後の疲れたいちご株を管理する時期。マルチシートを外して土壌を休ませるか、シルバーマルチに交換して地温上昇を抑えましょう。ランナーで増やす場合はマルチを部分的に外す必要があります。通気性を保ちながら水分を確保することが大切です。
新しい苗を定植する重要な季節です。植え付け前に土壌をしっかり整えてから黒マルチを張りましょう。地温を保温して根の活着を助けます。寒冷地では霜が降りる前に保温効果の高いマルチ素材を選ぶと良いでしょう。
いちごが休眠する時期もマルチングは役立ちます。霜から根を守り、地温の急激な変化を和らげます。雪が積もる地域では、雪の重みでマルチシートがずれないよう固定を強化してください。春に向けて土壌の状態を整えておきましょう。
マルチングで最も大切なのは「素材選びと厚さ」です。薄すぎると雑草が突き破って生えてきますし、厚すぎると水が通らなくなります。有機系マルチ(藁・バーク)は厚さ5〜8cm、マルチシートは規格品をそのまま使うのがベストです。また、マルチシートは張りっぱなしにせず、2〜3年ごとに新しいものと交換しましょう。古くなったシートは破れやすく、かえって雑草の足場になることがあります。初めての方はまず黒マルチシートから試してみることをおすすめします!