赤玉土(中粒)
基本の用土。排水性と保水性のバランスが優れています。いちご栽培の骨格となる素材です。
おいしいいちごは良い土から生まれます
最適な土壌環境を整えるための完全ガイド
「いちごは土が命」と言われるほど、土壌の質は栽培の成否を大きく左右します。どれだけ良い苗を植えても、肥料をたっぷり与えても、土の状態が悪ければいちごは健やかに育ちません。逆に、土さえしっかり整えれば、少しの手間でも驚くほど元気においしいいちごが育ちます。
いちごが好む土の条件は「水はけが良く、しかも適度な保水性がある」「有機物が豊富でふかふかしている」「pH(酸度)が適切な範囲にある」の3つです。これらの条件を満たす土を作ることが、上手ないちご栽培の第一歩です。
市販のいちご専用培養土を使えば手間が省けますが、地植え栽培の場合は自分でしっかり土づくりをする必要があります。このページでは、初心者の方でもわかりやすいよう、土壌の基礎知識から実践的な作り方まで丁寧に解説します。
植物が育つ上で、土の酸性・アルカリ性を示す「pH」はとても重要な指標です。いちごが最もよく育つpHは 6.0〜6.5(弱酸性) です。
土壌pHスケール
pH測定には市販の「土壌酸度計」または「pH測定キット」が便利です。ホームセンターで手軽に購入できます。pHが低すぎる(酸性が強い)場合は苦土石灰や炭酸石灰を、高すぎる(アルカリ性が強い)場合はピートモスや硫安を少量混ぜて調整します。苦土石灰は植え付けの2〜3週間前に混ぜ込み、土によくなじませることが大切です。
いちごに最適な土は、複数の素材を組み合わせて作ります。基本的な配合の目安は以下のとおりです。
基本の用土。排水性と保水性のバランスが優れています。いちご栽培の骨格となる素材です。
有機物が豊富で土をふかふかにします。保水性と微生物活性を高め、根の張りを助けます。
軽量で排水性を大幅に向上させます。根腐れ防止に効果的で、重い土を軽くする役割も。
保温性・保水性に優れた鉱物素材。根の乾燥を防ぎ、発根を促す効果があります。
pH調整に使います。1㎡あたり100〜200gを植え付け2〜3週間前に混ぜ込みます。
植え付け前に完熟堆肥を混ぜて土を豊かにします。1㎡あたり2〜3kgが目安です。
| 施肥の種類 | タイミング | おすすめ肥料 | 量(目安) |
|---|---|---|---|
| 🌱 元肥(もとひ) | 植え付け2〜3週間前 | 完熟堆肥・油粕・緩効性肥料 | 堆肥2〜3kg/㎡ |
| 🍂 秋の追肥 | 定植後2〜3週間 | 液体肥料(N-P-K均等型) | 規定量の半量を週1回 |
| ❄️ 冬期(休眠期) | 施肥不要(または最小限) | 施肥しないか極少量 | ほぼゼロ |
| 🌸 花芽形成期 | 2〜3月(花が咲く前) | リン・カリ重視の液肥 | 規定量を週1〜2回 |
| 🍓 果実肥大期 | 結実後〜収穫前 | カリウム多めの液肥 | 規定量を週2回 |
| 🌿 収穫後 | 収穫終了後(5〜6月) | 緩効性化成肥料・有機肥料 | 1株あたり10〜20g |
※ 施肥量は品種・土壌状態・栽培環境により異なります。過肥料は根傷みや病害の原因になりますのでご注意ください。
代表例:堆肥・腐葉土・油粕・骨粉・鶏糞・魚粉・草木灰
代表例:8-8-8化成・液体肥料・緩効性化成(マグァンプ等)
有機肥料と化成肥料を上手に組み合わせる「有機・化成併用法」が、多くのいちご栽培の専門家に推奨されています。元肥には有機肥料を使って土壌を豊かにし、生育期の追肥には化成液肥を使って素早く栄養を補うのがベストなバランスです。
植え付け前に土壌診断を行いましょう。pH測定キットや酸度計でpHを測り、必要なら6.0〜6.5の範囲に調整します。園芸店やJA(農協)では土壌分析サービスを提供しているところもあります。現状を知ることが適切な土壌改良の第一歩です。
前作の残渣(ざんさ)や雑草をすべて除去します。雑草は根ごと丁寧に取り除いてください。石・コンクリート片・ゴミなども取り出し、土を清潔な状態にします。この作業を丁寧に行うことで、後の雑草発生を大幅に減らすことができます。
土のpHが6.0より低い(酸性が強い)場合は、苦土石灰または消石灰を1㎡あたり100〜200g散布して耕し込みます。石灰を入れた後はすぐに堆肥や肥料を混ぜないでください。石灰が安定するまで2〜3週間待ってから次の作業に進みます。
完熟堆肥(牛糞堆肥・バーク堆肥など)を1㎡あたり2〜3kgを均一に散布し、30cm以上の深さまでよく耕し込みます。同時に腐葉土も混ぜると土がさらにふかふかになります。この工程が土壌の基盤を作る最も重要な作業です。
缓効性の化成肥料(8-8-8型など)または有機の元肥(油粕・骨粉など)を規定量土に混ぜ込みます。肥料は全体に均一に混ざるよう丁寧に耕してください。元肥が多すぎると根を傷めるので、量は必ず守りましょう。
いちごは排水が重要なため、高さ10〜15cmの畝を立てます。畝幅は50〜60cm程度が管理しやすいです。畝間(うねあいだ)は30〜40cm空けておくと、作業の通路として使えます。畝の表面を鋤(すき)やレーキでなめらかに整えて完成です。
「多ければ良い」は大きな誤りです。特に窒素肥料の過剰は葉ばかりが茂って実がつかない「つるぼけ」の原因になります。規定量を必ず守りましょう。
日本の土壌は酸性が強い傾向があります。pH確認なしに植えてしまうと、必要な栄養分を根が吸収できず、葉が黄化したり生育不良になります。
未熟な堆肥は土の中でさらに分解され、その過程で熱が発生して根を傷めます。必ず「完熟堆肥」と書いてあるものを使いましょう。
いちごは根腐れに弱い植物です。水はけの悪い土では根が酸欠状態になります。パーライト・赤玉土などで必ず排水性を確保してください。
同じ場所でいちごを続けて栽培すると「連作障害」が起きます。3〜4年に一度は太陽熱消毒や輪作を行い、土壌病害のリスクを下げましょう。
石灰と有機肥料・化成肥料を同時に混ぜると化学反応が起き、肥料成分が失われたり、アンモニアガスが発生して根を傷める場合があります。石灰投入後は2〜3週間おいてから施肥してください。
「いちごが元気に育たない」と悩んだとき、まず疑うべきは土のpHです。見た目がきれいな土でも、酸性に傾きすぎていると肥料を与えても吸収されません。ホームセンターで400〜600円程度で買えるpH測定キットを使って、定期的に土の状態を確認する習慣をつけましょう。また、家庭で出た生ゴミを堆肥化した「コンポスト堆肥」を土に混ぜると、コストゼロで土壌を豊かにできます。ぜひ自分だけの「秘伝の土」づくりに挑戦してみてください!